うつ病・燃え尽き症候群で苦しんでいるあなたへ

2013年から2015年にかけて、私は燃え尽き症候群に伴う鬱状態となり、2年間の療養生活をしました。その頃の記憶はあまりに苦痛で思い出すのが辛いのですが、私は自分の仕事の性質上、支援者の方に自らの病状を伝え、報告する義務を負っているという自覚がありましたので、それを「言語化」しました。

 

生きるのが困難な現代社会において、鬱病に罹患する人は非常に多いにもかかわらず、その当事者が書いた手記や発信は数多くは見つかりません。その理由は当事者だった自分にはよく分かります。残酷な戦場での体験などと同じで、鬱病の記憶というのは思い出すのがあまりに辛いので、回復した後に敢えてそのことについて語ろうとは思わないのです。むしろその辛い体験は土に埋めて二度と思い出さないようにしたい、というのが多くの当事者の実感であり、私もまたその気持ちを共有しています。

 

 

しかし、私の場合、例外的に「それについて語る」という必然にかられて言語化しました。次の2通の手紙はそれぞれ3ヶ月ほどかけて書きました。書いていると当時の地獄を思い出しますからある日は1行しかかけず、あるときは書きながら吐き気を催しました。心の生傷をえぐり、その中から削り出すようにして紡ぎ出した言葉ですから、「社会に還元し、同じように病気で苦しんでいる人に役立ててもらいたい」と私は思います。

もしこれを読んでいるあなたか、親しい人が鬱病や燃え尽き症候群で苦しんでいるとしたら、もしこの文章があなたのお力になれたら幸甚です。

‣2015年の手紙2  ‣2015年の手紙1

 

この動画は私が病気から復帰して最初に教会で話したメッセージです。「病気という啓示」が私の内面にどのような変化を引き起こしたのかが語られています。「Recovery is Discovery(回復とは発見である)」とはイタリアの精神科医の言葉ですが、私たちが病気になるとき、「元の状態に戻る」ことをもって回復とするのはあまりにもったいなく、その病気を通して何かを発見し、違う自分に「変態」してこそ病気になった価値があるのだ、という考え方に私も賛同します。動画のメッセージの書き起こしが下のリンクからお読みいただけます。

‣魂の夜を越えて

オススメの書籍

私が療養期間中、または復帰後間もないときに読み、非常に助けられ救いを与えられた書籍をいくつかご紹介します。

  • 『べてるの家の非援助論」浦河べてるの家
  • 『傷ついた預言者 ヘンリ・ナウエンの肖像』ミッシェル・フォード
  • 『脳が壊れた』 鈴木大介
  • 『死ぬ瞬間』 エリザベス・キュブラー・ロス
  • 『あなたが燃え尽きてしまう前に』 ウェイン・コデイロ
  • 『人はなぜ死にたがるのか』 下園壮太