FVIとの協力関係の中で、海外パートナー団体が行っているプロジェクトをご紹介します。
世代を超えた夢のストーリー:エチオピア 第2段階(2016~18年)
2016~18年の働き:大切にしていたこと
「声なき者の友」の輪のエチオピアのパートナーの代表デメレシュさん。彼が3年前に、エチオピアの次世代の大学生に、「ものの見方と隣人愛実践」の研修を提供する機会が開かれたとき、もっとも大切にしたのは、大学生たちの間でこの研修を伝える人々を育てることでした。
エチオピアの様々な分野に携わる人々の間で、21世紀が始まってから16年間、「ものの見方」を転換することと「隣人愛実践」を一人ひとりが身につけることで、エチオピアは海外への一方的依存から相互依存の関係を結ぶという成熟段階に達することをデメレシュさんは信じ続けました。
そして、未来の担い手、大学生たちに関わる機会が与えられることを彼は心から願っていたのです。その機会を決して、無駄にしなかった3年だったことをレポートから知らされます。
転換するエチオピア
3年間の働きをまとめるにあたって、デメレシュさんはエチオピアの政治状況の転換に触れずにはいられない、と伝えてくれました。彼は大学生時代に独裁政権のもと、違う意見を表明すれば、命を抹殺されることも当たり前の過酷な時代を過ごしました。
それから解放されたはずの27年間、気がつけば、解放の英雄とその手下?たちが選挙に介入し、長期政権に居座り、一部の人々だけの特権組織を形成していました。不利益を被った多くの部族、人々が不満を抱え、爆発するようになりました。
そのため、この数年は過激な対立が頻発しました。2016年以降、度重なる戒厳令の発令で緊張した状況が続きました。
このため、デメレシュさんが予定していた研修会もたびたび、中止せざるを得なかったのです。2018年4月の終わり、ついに長期政権を維持してきた首相の一派が辞任することになりました。そして、政治犯として拘留されていた何万もの人が自由にされ、エチオピアは、今、より自由な社会を回復し始めているのです。
この時期に、次の時代を立て上げていく大学生たちに知識だけでなく、「隣人愛実践」の訓練を通して、弱者から搾取する代わりに「弱者を守り、彼らに仕える」意義を体感してもらえたことは、本当に大きなことだったとデメレシュさんは考えています。
変えられた学生たち
研修を受け、さらに受けた研修を他の学生に伝える訓練も受けた学生たちの感想です。
「大きなことでなくて、小さいことから社会に影響を与えることができることを知り、とても励まされている。そのことを伝えていきたい。」
「社会の変革のために、とてもたくさんの機会があることに気づかされた。大人たちがすることを眺めているのでなく、自分達こそ変革の担い手なのだと判った。これを実践し、伝えたい。」
「日々の職業生活や自分が暮らす地域にどのように関わればよいか、とても明確になった。自分も実践しながら、他の学生たちに伝えていsこうと思う。」
広大なエチオピアのそれぞれの地域で、デメレシュさんは学生担当のスタッフたちと一緒に初めて大学生への研修をしたときから、参加者のなかで、実践を続ける誠実さがあるかどうかを見きわめ、教える能力のある人々を選び、次の研修者に育てていったのです。彼の20年近くの活動からの学びが、このように生かされて、実を結ぶことを見ることができました。
デメレシュさん:これから
デメレシュさんは今後も、ときどき、学生たちの地域を訪問し、隣人愛の実践例に触れて、学生たちと会い、彼らが新しく関わるようになった地域での働きを励まし続けたいと願っています。この時代に学生として歩んでいる彼らだからこその創造性を励まし、自主性を尊重して、励まし続けることはとても大切だと確信しています。
新しい時代を迎えたエチオピアでは、様々な部族や宗教の人々が暮らし続けます。彼らが対立を超えて協力できるようなものの見方とその実践は、ますます重要になっています。そのことに目を留めながら、デメレシュさんは活動を続けていきたいと願っています。
この新しい時代のエチオピアでの働きに「声なき者の友」の輪も引き続き、協力し、彼らの大切な教訓から共に学べたらと願っています。「輪」に加わってくださる皆さまの志をこれからもよろしくお願いいたします。