世界のビジョナリー

夢を持って「小さな愛の種まき」を実践している、草の根活動家たちを紹介します。

VOL.002 IWATE JAPAN

松本玄太 Genta matsumoto 地域に密着した活動を通して街を元気にし、人が集い、愛に包まれた空間を作りたい。

陸前高田の若者と共に、復興事業「Love Takata,Love Japan」に関わる

東日本大震災直後から現地へ駆けつけ、支援活動に取り組んできた松本さん。2012年4月に、長年住み慣れた東京を離れ陸前高田市に移り住み、この街の人々と共に生きる決意をした。それまでに10回以上現地を訪れていたこともあって、地域の方々からの信頼も厚く、 避難所で出会った方々と今も親交を深めている。
陸前高田市出身の若者が立ち上げた一般社団法人SAVE TAKATAの復興事業「Love Takata,Love Japan Project」への関わりを通して地域復興を目指すと共に、人々に密着した小さな愛の活動を継続している。

【interviewer:湯本 2012.5】

現地の人たちが見ている方向を一緒に見たい

- 活動を開始しようと思った経緯を教えてください。
去年の震災後、教会の陸前高田出身の人がきっかけで、4月から毎月訪れるようになりました。避難所で、自分も被災し家族を失ったにもかかわらず、支援活動をしている人々をみて、彼らを励ましていけたらと思いました。そのためには継続して彼らとかかわっていく必要があると思わされました。
外から来た人たちは被災者をみているけど、僕は現地の人たちが見ている方向を一緒に見たいと思いました。だからこそ、現地に移り住み「共に生きること」を選びました。

「Love Takata,Love Japan」に関わる

- 主にどのような活動をしていますか。
今は、一般社団法人SAVE TAKATAの復興支援事業(Love Takata,Love Japan)に関わりながら、地元の人たちと関係を築いています。 支援活動は、香港からの宣教師夫婦と日本人2人合わせて5人で、陸前高田市、南三陸町の仮設住宅を訪問し、地域の人たちとのかかわりを持ち続けています。仮設住宅では、一軒一軒お宅を訪問し、お話しする時間を持つことが多いです。時々イベントや台湾カフェを開催したり、避難所のスタッフをしていた若者たちを招待し、一緒にバーベキューをしたりもしました。


仮設住宅の訪問、イベントの開催

- キーポスト事業とSAVE TAKATAについて教えてください。
両者は協力関係にあり「Love Takata,Love Japan」コミュニティーを運営しています。キーポスト事業を行うジャパンリカバリーは株式会社、SAVE TAKATAは一般社団法人です。

»ジャパンリカバリー株式会社
ジャパンリカバリーが販売するキーポストは、大切なカギが手元に戻ってくる安心と災害に巻き込まれてしまったとき救急に身元を確認する手段として用いられます。ひとつひとつにシリアル番号が割り当てられているので、事前に個人情報を登録しておくことができるのです。また、価格の25%が陸前高田の復興支援金として寄付されます。
・ジャパンリカバリーのキーポストに関して

»SAVE TAKATA
SAVE TAKATAは陸前高田出身の若者が震災後1日で立ち上げ、拠点を東京と陸前高田におき、20代30代が中心となり活動しています。震災後、故郷の的確な被災情報が得られないことを心配した地元出身の3人の同級生が連絡を取り合い、現地の様子を見に行ったことがきっかけとなりました。次の日にはホームページを立ち上げ、道路交通情報等の現地へ向かう人に必要な情報をアップしWeb利用者に浸透しました。その後6月に一般社団法人となり、正規スタッフ4人で活動しています。他の仕事と掛け持ちで関わる人もいます。

去年の8月、支援活動に関わる中で、SAVE TAKATAに協力している人と出会い団体を知りました。拠点が東京とのことで、当時は僕も東京に住んでいたので、代表の方と直接会うことができました。復興支援に関わって行きたいという思いがあったので、親しい知人であるジャパンリカバリー株式会社の代表にそのことを話したら、ぜひ会ってみたいということに。ジャパンリカバリーの事業は日本の災害に対する助けになるものなので、二人はすぐに意気投合。 そこから、「被災地の継続的支援ができて風化防止にもなる、一大コミュニティーををつくろう」という話になり、Love Takata,Love Japanが誕生しました。 両者に協力関係が生まれ、二人を引き合わせたことで仲介に入っていた私自身も事業に関わるようになり、今回の様な支援の形になりました。現在は週3日、スタッフとして関わっています。

-  これまでにどんな 愛の種まきができましたか。 また、こんな実を結んだという経験があれば教えてください。
東京に住んで活動していた時から、避難所生活をしていた現地の青年と親しくなり、1年連絡を取り合いながら必要に答えていきました。仮設住宅での生活が始まってからも不便な生活の必要に答えることを心掛けました。 彼との距離が縮まったのは、好きなアニメの話をしたとき。映画のDVDを買ってプレゼントしたりしました。彼からの誘いで地域のフットサルに毎週参加させてもらってます。
※愛の種まき…FVIでは愛の行動を周りの人に実践することを「愛の種まき」と呼んでいます。
詳しくは「愛の行動3ステップ」をご覧ください。

音楽ゴスペルを通して街を元気にし、活性化させたい


親しい現地の青年たちと毎週行っているフットサル

- どんな夢を持ち、将来にどんなビジョンを描いていますか?
僕は昔から音楽をやってきました。なので音楽ゴスペルを通して街を元気にし、活性化させたい。僕はクリスチャンなので、イエスキリストの愛を伝えたいです。 小さくてもいいから継続していけるイベントを開催して、人が集い、神様の愛を体験できる場をつくっていけたらと思っています。神様を知らなくても、そこに集まることでイエス様に出会える、安らげる愛に包まれた空間を作り出せたらと思っています。

- 今後の課題はありますか
主体性を持って行動することを課題としています。 自ら計画したことを実行したり、リーダーシップを発揮できるように。(人の計画に乗っかるだけでなく。)

- 困難な事はありますか
本当に自分がやるべきことをまだやれていないような、始められていないと思ってしまいます。もっとも小さき者に仕えられるように、人の生活に寄り添ったことをすることができるようになっていきたい。3月~5月は仕事のことでバタバタしていて、それだけがメインになってしまうんじゃなくて、神様が自分を用いてなされようとしている働きに力を入れていきたいです。僕が東京で過ごした練馬グレースチャペルは地域にとても密着した教会。そこで多くの事を学んできたので、陸前高田や南三陸町でも生かしていきたいです。

被災した地域としてでなく、「陸前高田」という街を知ってほしい

- 休みの日は何をして過ごしていますか。
現地の観光地に足を運び、買い物をしています。前から料理が好きなので一緒に支援活動に取り組むチームメンバーでもある同居人と交代で自炊しています。

- 自由に一言お願いします。
高田に来たい時にはぜひ連絡してください。支援するのではなく、ただ遊びに来るだけでもいいので、ぜひ高田に足を運んでください。コーディネートしますよ!
僕は会話の中で、被災地、被災者という言葉を使うのをある時からやめました。何かを説明する際に必要ならば使いますが、いい響きではないし、確かに家族を失って傷を負っている人もいるけれども、いつまでも被害者であるわけじゃない。前を向いて歩いていかなければならないから、ひとくくりに被災者と呼んでいいのだろうかという疑問があります。
現地の人から「かわいそうだと思わないでほしい」「いつまでかわいそうな人たちだとみられうんだろう」という声を聞きました。 新しい街へと歩みだしているから、立ち上がるための支えになりたい。 被災した地域だからではなく「陸前高田」として知られるようになってほしいし、来てほしいと願っています。傷を負った人たちの癒しのため、立ち上がって歩んでいける助けになりたい。そこにイエス様の希望をもって、一緒に歩んで行けたらと思います。
- ありがとうございました!


仮設住宅では一軒一軒お宅を訪問


兄弟のように仲の良い、共に活動するチームメンバー

インタビュアーが現地の活動家を訪問し、一緒に活動することで見て、聞いて、体験して、感じたことなどを書きつづります。

明るくて気さくな性格の松本さん。仮設住宅を訪問した際も、力を入れないありのままの姿でみなさんと接していました。松本さんを見かけるとみなさん嬉しそうに「玄ちゃ~ん!」と声をかけ、冗談を言い合いながら笑い合っている姿がとても印象的でした。
地域を知ることにもとても積極的で、休日出かけた先で知り合った方と連絡を取り合ったり、フットサルチームの仲間との交流も楽しんでいます。取材したこの日も突然連絡が入り、現地の方と一緒にランチへ行くことになりました。

一緒に活動するチームのメンバー5人もとても仲良しで、いつも兄弟のようにじゃれ合っています。メンバーそれぞれが励まし合い、支え合い、認め合うことで、自分の得意なことを発揮することができます。そうすることで放たれた一人一人の輝きが周りの人々を照らし、包み込むのだということを、彼らを見ていて教えられました。

チームメンバーに松本さんはどのような人物なのか伺ってみたところ、「まじめで几帳面」「包み込むような優しさがある。とにかく優しい。」「周りの雰囲気を和ませる、良い雰囲気をつくる。」「みんなに愛されるキャラ」「目がキラキラしている」と答えてくださいました。 また、「やろうとするけどうまくいかないことが多い。だから助けてあげたくなるし、人に頼るのがうまい。子どものような素直さや、不器用さがある。自分の弱さを知っているから、神様に頼るしかない。」と答えてくださった方もいました。

自分の弱さを知っているから、弱い立場の人に寄り添うことができ、「支える」のではなく「支え合う」からこそ、より深い人間関係を築くことができるのだと思います。何より松本さんを見ていると、本当に陸前高田が大好きなんだなという思いが伝わってきます。現地の方々と共に生きることを決意した松本さんは、一方的に助けること以上に、自分自身が皆さんに支えられているということを理解して感謝していて、それが生き方に現れているからこそ、現地のみなさんと気兼ねのないとても距離の近い「地域に密着した関係」を築けるのだと思わされました。


現地の方が運営する「陸前高田未来商店街」にあるカフェ


訪問先では、ゆっくりお話しする時間を持っています。


親しいみなさんと

世界のビジョナリー