世界

FVIとの協力関係の中で、海外パートナー団体が行っているプロジェクトをご紹介します。

004 東アフリカ エチオピア・アジスアベバ

抑圧された人々、ダリットたちの尊厳回復プログラム 南アジア インド 北部 最貧構想としてあえいでいるダリットの人々。自信と尊厳を失っている彼らと関わり。全ての人を等しく大切にするという愛の世界観によって次世代の人々を育成するラムスラットさんたちの働きを紹介します。

世代を超えた夢のストーリー:エチオピア 第2段階(2016~18年)

学生サポート・グループの取組み

エチオピアのFVIパートナーであるデメラシュさんが協力をしている学生サポート・グループは、関わる学生一人一人が「社会の弱い立場にいる『声なき者』たちをいつも視野に入れて、どの専門分野からも貢献し、自ら隣人愛を生きていく」ことを体得していけるように様々な働きを行っています。

エチオピア社会では、数%に過ぎない大卒は人々からエリート層とみられ、多くの場合、高給を約束される職種や役職に就きます。卒業生たちが、自らの手を差し伸べて最も弱い人々に関わることを当たり前に生き、弱い人々が支えられるような社会構築に貢献するなら、エチオピアの未来の社会はどれほど輝くことになるでしょうか。そのようなビジョンを真剣に追い求めて、長年次世代育成に取り組み続けています。
»報告3 次世代に隣人愛を広める祈りへの応答 参照ページ

その働きの一環として毎年夏休みの間に開催される、ナショナルトレーニングと言うものがあります。各大学のキャンパスの代表学生たちがリーダーとしての資質を身に着けるべく、聖書の価値観について学んでいきます。2017年にエチオピアを訪問した湯本もこのトレーニングに参加させてもらいました。エチオピア全国から集まった学生たち約430人が一ヵ所に集まり、1週間合宿をしながら寝食を共にして、仲間同士の交流を深めていました。

積極的に学ぶ姿勢

トレーニングは、毎朝6時からの祈りの時間に始まり、午前の全体集会、午後の分科会、夜のミーティングと続きます。 聖書の価値観を土台し、どのようなリーダーとなって人間関係を築きチームを率いていくのか、その為に必要な人間的資質、チームの仲間のサポートの仕方、主体的な取り組みの励まし合い方、地域社会との関りや奉仕活動、など、知識や人間性を他者の為に活用し、正義と公正を自分の生き方にしていくための学びやワークショップが組み込まれています。

印象的だったのは、受講する学生が熱心で積極的に学んでいた姿です。リーダーは立候補制のため主体性のある学生ばかりが集まっており、初対面である別キャンパスの学生達とも盛んに交流を深めていました。大学を卒業した元リーダー学生も、後輩たちを励ますために会場に来ていました。
各キャンパスには担当の学生サポート・グループのスタッフたちが配属されており、その役割は若者たちの主体性を尊重するために「自らやらせる・見守る・失敗して当たり前・励ます」ことを基本としています。スタッフは運営と学ぶ場づくりに徹し、あとは学生たちを信頼して任せていくのです。ナショナルトレーニングには、それらのスタッフや本部事務スタッフも含め一ヵ所の会場に集まるのですが、学生達とスタッフの親しい様子や生き生きと活動している姿からも良い信頼関係が築きあげられているのを感じました。


分科会のワークショップの様子


寮の中庭で交流を深める学生たち


全体集会の様子。学生とスタッフ全員が参加。

参加していた学生の一人に、リーダーになろうと思った理由について尋ねると、思わぬ答えが返ってきました。エチオピア社会で比較的裕福な家庭で育ったその若者は、子ども時代に孤独を経験し生きる意味を見失っていた頃に、自死を考えたことがあったそうです。助けによってその経験から立ち直った後は、同じように苦しむ若い世代に寄り添い生きる者となりたいと願い、リーダーになるための学びを受ける決意をしました。彼は快く、日本の皆さんに向けた動画インタビューに応じてくれました。
記事の最後に表示していますので, 合わせてご覧ください。


昼食時の様子

 孤独社会と呼ばれる昨今の日本とは異なる、人と人との繋がりや助け合いの精神が根強く残るコミュニティ性が高いエチオピア社会において、この若者の子ども時代の経験は、経済発展が進み始めたエチオピアに始まりつつある問題の種なのではないかと思わされました。

国の大きな流れが変わったとしても、学生サポート・グループが人の真の価値に目を留め大切にしながら「他者に仕える生き方」を身に付けた次世代の育成に貢献していくことができるよう、日本の皆さんと共に考え協力をしていきたいと願います。ご支援よろしくお願いいたします。


会場となった首都郊外のキャンバス

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