FVIとの協力関係の中で、海外パートナー団体が行っているプロジェクトをご紹介します。
2013年1月-3月 活動報告
尊厳回復に基づいた中高生のための進路指導研修会
2013年度に計画されていた中高生の職業選択・準備研修会が、インドの学校年度開始にあわせて、1月後半に開催された。ダリットや底辺の階層の32名の中高生たちが参加した。中には、すでに中退していた女子生徒もいたが、中途再入学することを勧められ、もう一度、前向きに考え始めたという。
社会でしばしば軽視されるつらい経験を越え、自分に与えられている能力を信じ見究めて、自分のいのちは社会に貢献するために与えられていることを話し合いながら学んだ。そこから、将来の目標を決めて、具体的な科目の選択や学校選択を考える初めての機会だった。
この研修会で自分の人生の意味と目標を友人たちと一緒に考える機会を得て、初めて、勉学の意味が明確になり、意欲が高まった子が出てきている。
リーダーたちの「包括的世界観」研修会
自己願望達成が目標だったリーダー観から脱皮し始めた地域リーダーにとって、次に取り組むべき課題は、人々の最善をどのように捉えるか、という人間観である。人間が楽しい人生を生きるのに必要なのは、整備されたインフラと豊かな生活と余暇のための所得だと考えるなら、経済向上やモノの整備を最優先するだろう。人間にとって、もっとも重要で人生を切り開くために必要なのは、知識を蓄えたり、知恵を得ることだと思えば、子どもの教育や大人の継続教育への投資が最優先されるだろう。人間にとっては、体が死んでも存続はずの魂のケアが最重要だと考えれば、それに専念するアプローチになるかもしれない。また、人間は社会的な存在でもあるが、生まれながら人にはランクがあるという考えと慣習があれば、人をどう見るかという人間観が問われることになるかもしれない。また、平等なはずなのに孤独を感じる人が多ければ、社会が人の関係をどう見てきたかを考え直さなければならないのかもしれない。
大切なのは人間をどう見るかで、地域のリーダー達が目を向ける地域向上の内容は変わるのだ。このため、この研修会では人間を包括的に見る、人間には成長すべき様々な側面があることに目を向け、具体的な実践を考える会とした。26人の地域リーダー達が2日間の研修会に参加した。
参加者全員にとって、このような見方で、人を捉え地域向上を考えるのは始めてだった。新しいチャレンジを感じると同時に、一面に偏らずに良くなっていくという可能性を感じたと、ある参加者は語った。
カースト制度の慣習撤廃の実践・ 隣人との関係から取り除く
ダリット(不可触民階層)のひとつ上の階層に属していたビジャイ氏は、2月のある日、家族みんなでダリットに属するドゥラリさんの家を訪問した。カーストの慣習では、自分より下の階層の家を訪問し、そこで料理された食事を食べることは考えられないことだった。
そこに居合わせたダリット出身のラケシュ氏も、上の階層の家を訪問して生まれて初めて、ガラスのコップで水を飲ませてもらったとき、人をこうして変えてくれた真実の神の愛を見ることができたと語った。以前は、その家のコップを使わせてもらうことなど思いもよらず、自分の手のひらに注がれた水を飲んでいたのだ。
生まれに関わらず、どのような人でもどれほど尊い存在なのか。その訳を理解し、それを実践するまでに人を変えることができる「愛」の方に出会うとき、何千年も続いたカースト制度の慣習が社会から姿を消していくことを、人々は感じ始めている。
包括的地域向上のためのリーダー・フォロアップ研修会
過去2回、リーダーシップ研修会に参加し、「包括的地域向上」について学びを深め2013年度の実践計画も立てていたウッタル・プラデシュ州西部地域の19人のリーダー達は、3月のフォロアップ研修会に参加し、前回に立てた計画である程度、進んだことと実情に合わせて修正する必要のあることを確認し、4月から9月までの半年の修正計画を立てた。
グループで計画を再確認する参加者たち