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001 南アジア インド・オリッサ州

人と社会のトータルな変革プログラム 経済躍進のインド。最貧国郡で人が生かされるために奮闘するナヤクさんたちの働きをご紹介します。

2014年・4年間の活動の総括/2015年・活動の展望

2014年:4年間の活動の総括-自立への息吹
1.山間の村の変貌

2011年の始めにナヤク女史が率いるエベネゼル・チームが「声なき者の友」の輪と協力のもと、オディシャ州の辺鄙な山間の村での活動を決意した当時、村の空気はどんよりとしていました。一年のうち雨期の4か月間は増水する川に阻まれ、村に必需品を運び込むことも困難で、村の人々は生きることに疲れたような表情でした。誰からも見捨てられたような村。諦めの気分が漂っていました。

 この4年間、エベネゼルの尽力で、村人総出で村のために活動する数多くの機会が整えられてきました。小学校がとても遠く、ほとんどの子ども達が学校に行くことを断念している状況で始めた学習支援教室のため、2012年には日本の協力で資材を購入し、村人自らが小さな教室を建てました。子どもたちの教育を村人が主体的に考えようと、1年半ほど前には教育推進委員会が設立され、子どもたちの未来を考える村に変化し始めています。


委員会に集まってきた委員たち

村で最も存在感が薄かった女性たちに、町では当たり前だった「女性自助グループ」が紹介され、4年経った今では家事のかたわら、町で販売できる食品や用具を作成・販売し、家計にとって大きな助けになっています。州政府の融資も受けられるようになり、ほとんど自立した2つのグループ活動になりました。

 昨年末から、雨期に彼らの村を外界から遮断してきた川に架ける橋の建設がいよいよ本格的になることに備えて、村の中央を通る道路作りにも取り掛かり始めました。
 この村の未来が見えてきたようです。エベネゼルのナヤクさんの祈りと信念が少しずつ実を結び、今、自信を回復し始めた村人たちによって、村の未来のために貢献しようとする人々が自発的に、動き始めているのです。

自助グループの活動中

2.学習支援教室による貢献

2011年以前、村でナヤクさんが最も心を痛めていたことは、小学校に行ったことがない子ども達の何十人もが、村の中をただぶらぶらしている様子でした。2011年始めに支援教室が開始されたとき、60人以上の子ども達が詰め掛け、ひしめきあって学びを始めました。

 2014年までに、国語、英語や算数などの基礎知識を身につけた子ども達のうち、26人もが公立の小学校、そして中学校へ編入、入学することができました。通学時間は徒歩で片道1時間以上かかるのですが、村の子どもたちが学校に通うことが当たり前の光景になったのです。

2015年始めの今は、遠い小学校には通いきれない低学年の子どもたちと学校に慣れるように預かりを希望する親たちのため、一部の幼児を受け入れ、総勢24人が学習支援教室に来ています。

 この4年間の最も大きな成果は、一昨年終わりに学習支援教室の担当教師が、村外の人から村出身で高校を卒業した若者のアナント君に代わったことです。村の生活や子どもたちの様子を一番良く知っているアナント君は、この一年間、本当に精力的に子どもたちの面倒を見て、多くの子たちが公立の学校に編入できるように努力をしました。彼らがどんな大人になったらよいだろうと、自らが模範となるように祈りのうちに尽くしているのです。

 村が本当に変革されるのは、村で育てられた若者たちが、より良い村づくりに貢献するようになることです。生まれ育った村を愛してやまない若者たちが、今度は村の次世代の子どもたちの育成に携わる。そのような機会を提供してきた、日本の皆さまのご協力を心から感謝いたします。

2015年:5年目の活動の展望‐次世代を育成する村出身の若者たちを励ます

今年、エベネゼルのナヤクさんは、村の若者たちが、村をさらに良くするために尽くせるように彼らを励まし、育成することに力を注ごうとしています。
学習支援教室担当のアナント君、そして彼に指導や助言をし、村全体の向上のために村のいくつかの委員会をサポートする同じく村出身の若手のジョゲッショワルさん。雨期に外界から村を遮断してきた川に架ける橋の建設に備えて、村の中央を通る道路作りで村全体がさらに結束するように、彼らの存在が鍵となるでしょう。