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001 南アジア インド・オリッサ州

人と社会のトータルな変革プログラム 経済躍進のインド。最貧国郡で人が生かされるために奮闘するナヤクさんたちの働きをご紹介します。

感謝のうちに協力終了(2011~15年)

インドの辺境山間村変革にビジョンを与えられた女性との協力

「人と社会のトータルな変革プログラム」は、5年前の2011年、経済成長躍進の著しい新興国の一つであるインドで、辺境ジャングル地域の村のトータルな変革を目指して始まりました。

未来を担う子どもたちが教育を受ける機会を失えば、インドのIT産業の強みなどは若者にも村にも、雲の上の話に過ぎなくなるばかりか、天国と地獄の格差拡大につながってしまうからです。この山間の村の様子に、長年心を痛めてきたナヤク女史の熱い思いに応答して始まったプログラムでした。

5年を経て、様々な経験からの教訓と成果を得て協力を終了するに当たり、ナヤクさんからの心からの感謝と5年間での到達の様子を報告致します。


山間部の村に重荷を与えられたナヤクさん(右)

応答した村人たちの3つの願い

 2011年、橋の無い川を足で渡って到達する村の人々とナヤクさんの話し合いの結果、遠くの公立学校に通えない幼児と小学校低学年のための学習支援教室サポート、女性の自助グループ活動サポート、そして定期的に村の人々が希望をもって歩めるように集会を持つことになりました。
山間部の多くの村々に活動を広めたいという当初のナヤク女史の夢は、途中、山間部に移動してきた武装グループのために、一つの村だけに集中し、山間のモデルづくりをするという計画の変更もありました。

学習支援教室サポートから生まれたもの

村人たちは、学校に通えない低学年の子どもたちのために学習支援教室建設を願いました。そして用地と労働力を提供し、日本の方々が資材費を協力した結果、教室が2012年始めに完成し、その後、村人たちのコミュニティセンターという役割も果たしています。

2012年からひしめき合い学び始めた60人ほどの子どもたちの半分近くが3年のうちに、遠くの公立学校に入学する力を身につけ巣立っていきました。今では、町に寄宿して高等教育を受け始めた子どもたちもいます。2015年後半には幼児と低学年児童の8人が通うだけになりました。村人による教育促進委員会をナヤクさんが設立し励まし続けた結果、村人の間で「ここで子どもに教育を受けさせても無駄だ」という考えは影を潜め、自分の子ども時代にはなかった場に、父親たちが送り出すまでになりました。

時代の変化の直撃を感じることもありました。村出身の若者に学習支援教室指導員を担当してもらいましたが、中等教育を終えると辺境地から広い世界の大都会に出て腕試ししたいとの思いが沸き立つようで、二人の若者指導員が職を辞して旅立ったのです。これからの時代、山間の村はどのような変貌を遂げるのだろうと思い巡らす出来事でした。


学習支援教室に子どもを送り届ける父親たち

村の女性たちの自助グループ

女性たちが始めた自助グループでは、5年の間に技能訓練を受けて、自分たちの製品を作り出し、町に販売するようになりました。いくつかの品では注文も受けるようになり、女性たちの自信が深まりました。子どもたちや家族のために収入を得て貢献することで、女性は自分たちでできることが増えたのです。今では州政府の融資も受けています。

住みやすい村を目指して-乾期用飲料水貯水槽づくり

2014年には日本からの資材支援を受け、乾期用飲料水貯水槽づくりに村人みんなが協力しました。想像以上に困難で掘削作業をやり直す事態でしたが、貯水槽が完成したとき、村人は自分たちの夢が実現したと大きな達成感を味わったのです。


飲料水用貯水槽づくりに励む村人たち

協力が生みだす新たな未来へ

村と外界を遮断してきた川にかける橋の工事計画はできたものの、残念ながらまだ工事開始のめどはたっていません。けれども、村では希望を励ましあう定期集会が継続しています。世界の転換期のこの5年間、最も辺境の人々が未来を構築する次世代を育成する過程に、日本の皆さまのご協力で参加できたことを心から感謝いたします。


希望に溢れ、町の学校に通う村の女の子たち