海外でいちばん不味かった食べ物は何ですか??

僕は開発途上国に行くとき、「そこで出されたものは全部食べる」というのを、たいせつにしています。「出されたものを食べる」というのは、「私はあなたたちを受け入れます」というしるしになるからです。


日本人の僕たちも、たとえば家にお客さんが来て、料理を出して上げたのに箸をつけなかったら、自分たちの文化だけでなく、自分たちも受け入れてもらえていないと思うのではないでしょうか。


ひとつ注意が必要です。東アジアの、たとえば韓国や中国や台湾ですと、最後の最後まで食べきらないことが大事です。「あなたは食べきれないほどもてなしてくれました」という感謝のしるしとなりますので、食べきれば食べきるほどおかわりを持って来られます。ですからほどよいところで「もう満腹です、食べきれません、ありがとう」ということが礼儀正しいやり方になります。


とにかく、いろんな国でいろんなものを食べましたが、僕は好き嫌いがありませんので、どんなものも「おいしくいただく」ことができました。「おいしいものをいただく」よりも、「おいしくいただく」ことが、日本でも大事ですよね。


それでも、最後まで食べられなかったものがひとつだけあります。それはガーナに行ったときに食べた、「アフリカタケネズミ」の肉です。


アフリカタケネズミというのは、猫ぐらいの大きさの丸々太ったネズミで、アフリカで食用のために飼育されています。そのネズミの肉のスープの中に、フフというガーナの主食が浮いているのを、手ですくって食べるのですが、僕はその肉だけは最後まで食べられませんでした。


何ヶ月も洗っていない犬から、犬の汗のすえた匂いがするのを、嗅いだことがあるでしょうか?アフリカタケネズミの肉からは、そういう匂いがするのです。
鼻をつまんでも全部食べるのは難しかったと思います。


日本に来た外国人の人が、納豆とか生魚を、顔を歪めながら我慢をして食べているのを見掛けたら、僕はアフリカタケネズミのことを思い出して、「この人たちも、 あのときの僕と同じぐらい、 食べ慣れていない食べ物の匂いに苦しんでいるのかもしれない」と思うと、外国人の人に、「それでも日本に来てくれてありがとう」という気持ちがわいてきます。外国に行くと、日本にいる外国の方に優しくなれますから、是非大人になったら行ってみてください。

アフリカタケネズミの肉のスープ

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