イスラム教の人たちは、どんなことを信じているのですか?

イスラム教は、今から約1400年前にアラビアの砂漠で預言者のムハンムドさんという人が、アッラー(アラビア語の「神」)の声を聞いたと言われ、その言葉を伝えて始まりました。ムハンムドさんがアッラーから聞いた言葉をまとめたのが、聖典のクルアーンです。南アジアや東南アジアには、600~700年前に伝えられたそうです。

イスラム教は、今までイスラムを知らなかった人も信じることができますが、イスラム教の両親のもとに生まれたら、子どもはイスラムに従うものと考えられ、代々、伝えられるのです。ですから、イスラムの男の子は、生れてしばらくすると、ユダヤ教の人たちと同じように割礼という体にしるしをつける儀式を受け、イスラム教の人になります。女の子は、お父さんや結婚した後の夫の信じることに従うもの、とイスラム社会では考えられています。

男の子は、4~5才になるとお父さんと一緒に、金曜日の昼(イスラム教の国では、日曜でなく、金曜が週の休日です。)に、モスク(イスラム教の会堂)に行き、お話を聞き、体で表現する礼拝の形式を学んでイスラム教徒らしくなります。女の子は、女性のための部屋があるモスクに行く国もありますが、多くの国では、家に来てくれる先生から礼拝のやり方やお話を学びます。

ですから、イスラムの人にとってイスラム教は、何を信じるかが始まりではなく、家族のひとりであるための日々の習慣が重要なのです。たとえば、何を食べられるか食べられないかを厳しく守ることで、イスラムの仲間の結びつきを強めます。時々聞く、食事に関する「ハラル」ということばがありますね。これは、イスラムの人が食べてよい、というアラビア語です。食べていけないものの例は、豚肉。日本でもほかの国でも大人が飲むビールやお酒などのアルコールも禁止されています。

日々の習慣を小さいころから厳しく守るようにしつけられて、「ぼくはイスラムに従っている」と自然に思うのです。

さて、やっと質問への答えにたどりつきました。イスラム教では、どんなことを信じているのでしょう。

人は、アッラーからいのちを与えられて生まれ、そして死ぬと信じています。人は、生まれてから死ぬまでの間に良いこともするし、悪いこともする。死んだとき、良いことのほうが悪いことをした数より多いと、楽しい天国に行ける。悪いことのほうが良いことより多いと、永遠に苦痛を受ける地獄に落ちる。つまり、人は生きているときの善悪の数で、死後、天国か地獄のどちらかに行くと信じています。

ですから、アッラーがやりなさい、と決められたことを一生懸命行うことは、良いことなので、天国に行く見込みが大きいと考えます。その大切な行いは5つ。「アッラーのほかに神はなく、ムハンムドがアッラーの特別な使い」と告白すること、一日5回のアッラーへのお祈り、一年に30日間の日中断食、貧しい人をお金やもので助けること、そして、イスラム教の聖地と言われるサウジアラビアのメッカという町に出かけて、特別の礼拝をすることです。

思春期以上で病気以外の人はみな、断食月に断食してアッラーに心を向けるように求められます。一日5回のお祈りを守り続けたり、断食月に断食をやり抜いたりすると、今までの悪い行いを帳消しにされると言われます。

このようにイスラム教は、日々の習慣での家族や社会との結びつきを大切にし、そして死後を信じて、天国に行けるように一生懸命取り組むものです。

でも、もちろん、とても熱心にすべてを守る人ばかりではありません。人から白い目で見られないくらいにしときたいと、ときどきお休みする人も多いのです。

どこの社会でも、人の目を気にして「空気」を読んで過ごすのは疲れますね。イスラム社会は、まわりの「空気」を気にする日本の社会との共通点が、実は多かったりして!?

Tags:

Comments are closed