海外に行くときの、一番の楽しみは何ですか?

コロナ禍で海外に行く機会も減りましたね。僕も2019年の夏を最後に、この2年半ほど飛行機に乗っていません。NGOの活動を初めてから、こんなに長い期間、飛行機に乗らないのは初めてかもしれません。


僕が海外で楽しみにしていることはふたつあります。

ひとつめは、海外の友だちと話すことです。日本以外の国々で育った人たちとじっくり話すと、今まで当たり前だと思っていたことが、まったく当たり前ではなかったことに気がつきます。
たとえばインドの友だちと話していて、「時間」というものが、インドと日本と違う流れ方をしていることに気づいたりします。

インドではバス停に時刻表はありませんし、長距離の夜行電車が2時間遅れたりするのは当たり前です。それに対してイライラする人も怒る人もいません。「日本では電車が30分遅れただけで乗客がすごく怒って駅員室の窓が割れた」というニュースが、インドで「世界にはこんな珍しい民族もいるのだ」という「おもしろニュース」として報じられたりします。

インドの友だちと話しているときにその理由が分かりました。ヒンディ語に「khal(カル)」という言葉があるのですが、意味が2つあって、それが「昨日」と「明日」なのです。だからインド人と英語で話していると、ときどき「昨日」を「明日」と言い間違えたり、「明日」を「昨日」と言い間違えたりします。

僕たちにとって時間は3種類(過去・現在・未来)あるのですが、ヒンディ語文化圏では時間が2種類(現在・現在以外)なのだ、というのが言葉からみえてくるのです。そうするとインド人の友だちが、約束の時間に6時間遅れてきても、まったく悪びれないし、僕が逆に6時間遅れても、誰も怒らない理由がわかるのです。


日本の当たり前は、世界では当たり前じゃないことがわかると、日本の良さが改めて分かったり、日本の外にもたくさんの良いものがあることが分かったりします。


もうひとつ僕が海外で楽しみなのは、その国のスーパーマーケットを見て回ることです。
特産品や工芸品が売っている、いわゆる「おみやげ屋さん」も楽しいのですが、僕は観光客があまり行かない、現地の人が普段買い物をするスーパーや市場に行くのが好きです。そこで調味料やお菓子や食料品を見ていると、そこで生活する人のふだんの食事の様子が想像できて楽しいのです。

今はグローバル化といって、世界のものを日本で買うことができますし、日本のものを海外で買うこともできます。それでも、日本では多分手に入らないようなものも、海外のスーパーにはあります。たとえば、インドのスーパーマーケットに売っている、謎の辛いお菓子があります。かたちはベビースターラーメンを細く長くしたようなかたちで、ピーナッツが一緒に入っています。味はかなり辛いカレー味ですが、なぜか癖になります。それをインドの人はなぜかスプーンですくって食べます。液状のカレーはスプーンを使わずに手で食べるのに、です。

逆だろ、と思います。


でも、あの謎のお菓子をインドのスーパーで買って、日本に帰ってきてスプーンで食べると、とってもインドのことを思い出すのです。そういうことが僕はとても好きです。海外のお土産は、お土産屋さんじゃなくてスーパーマーケットで探すのも、たまには良いかもしれません。

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